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9.歯を失う2大要素


 虫歯や歯周病といった歯と歯ぐきの病気(=歯科疾患)は、突然できるわけではありません。間食が多い、寝る前に飲食をする、歯みがきをしないなど、不適切な生活習慣が長い間つみかさなった結果つくられるのです。つまり歯科疾患には生活習慣が大きくかかわっているといえます。

 
 たとえば、昭和20年ころの日本では、子供の虫歯が少なくなりました。これは、戦争の影響で糖分の摂取が制限された結果です。ところがその後の経済成長に伴って、食生活をはじめとする生活習慣が大きく変化した結果、虫歯や歯周病が増加を続けてきました。
 そして現在では、多くの人にむし歯をはじめとする歯科疾患がみられます。ところが、歯科疾患では高熱が出て寝込んだり入院したりといった重い症状が引き起こされることがほとんどありません。そのためか、悪くなれば歯科医院へ行けばいいなどと安易に考えている人が多いようです。
 
 しかし、虫歯も歯周病も病気です。治療よりも、まず予防が肝心です。さいわい、こうした歯科疾患は他の病気とくらべて原因がはっきりしています。毎日の手入れしだいでかなり予防することができるのです。
 
 厚生労働省の平成11年歯科疾患実態調査報告によると、日本人の約60%が、なんらかの理由で歯(永久歯)を失っています。一方、神奈川県歯科医師会の調査によると、歯を失う原因として虫歯と歯周病でしめる割合は86%、事故・矯正など、その他の要因は14%でした。見方をかえれば、歯科疾患の罷患のメカニズムを理解して対応することで、大切な歯をかなり守ることができる、ともいえます。